TDC Representative Yuko Akahane

〈TDCのものづくりストーリー〉
トライ&エラーから生まれた独自技術

ティ・ディ・シー代表の赤羽優子がお話する、ものづくりのバックストーリー。
今回は、独自技術を生み出すに至った弊社の取り組みについて、その一端をお話します。

難しい仕事こそが成長の糧

世の中にない技術を作る
それをクリアした先に成長がある

SUS304 鏡面サンプル

私たちティ・ディ・シーでは、これまでさまざまな技術を開発してきましたが、はじめから独自の技術があったわけではありません。

弊社は研磨業界の中では後発だったこともあったので、他社と同じようなことをしていてもだめだと思っていたんです。だから、どこもやりたがらないような難しい仕事がないかとお聞きしてご注文をいただいていました。

そうしているうちに「じゃあこういう加工ってできますか?」というお話もいただけるようになってきて。当然難しい仕事は、当社でも最初はできません。そのためのノウハウもなければ、専用の機械があるわけでもありませんから。

ですが、ティ・ディ・シーのモットーは「できないを言わない」。できるわけがないという仕事でも、まずはやってみる。いわゆるSTAY FOOLISHの精神で、セオリーみたいなものは一旦考えずにトライする。まぁ本当にFOOLISHということなんですけど(笑)、やってみてはじめて分かることがたくさんあるんです。

皆さまからいただいた課題に挑戦する中から生まれてきた技術が、結果として当社独自の技術となっていきました。

光らないはずの素材が鏡面に。
試行錯誤は時にセオリーを超えていく。

20年ぐらい前の話ですが、こんなこともありました。

ある時、お客様から「純チタンを鏡面加工してください」というご注文をいただいたんです。工場の技術者にお願いをしたんですが、通常のやり方だと全然うまくいかなくて傷だらけになってしまったんですね。

「うまくいかないなぁ」と言いながらずっと取り組んでいたんですけれど、どうしてだろうと思って金属材料の本で調べたら、「チタンは磨いても光らない材質」って書いてあって…。あとからそれを知って、まずいことを頼んじゃったなと思っていたところ、しばらくしたら「光ったよ」と技術者が持ってきてくれました(笑)。

チタン重量マスタ
ティ・ディ・シーにて円筒鏡面加工を施した純チタン

「えっ!?」って驚いたんですが、いろいろ研磨剤を混ぜたりして試していたらできたと。その時に「世の中で正しいとされていることって、必ずしもそうじゃない。新しい知見って生まれるんだな」と思いました。

このときの成果は、純チタンにおいてRa5nm以下を達成したということで、「第3回みやぎものづくり大賞」を受賞させていただくことができました。

固定概念に縛られず、ものづくりに取り組む。

オンリーワンと言われる技術って、まだ世の中にない技術を作ろうということなんです。だからこそ、そこで必要なのは柔軟さ。知識はあるに越したことはないのですが、そんなに重要ではありません。

それよりも、やってみて、失敗して、どこがだめだったのかを考えて、またやってみる。そんな姿勢こそがものづくりでは一番大事だと思っています。

ティ・ディ・シーでは現在、18歳から79歳までの社員が働いているのですが、地元の普通科高校出身の技術者がたくさんいます。入社した当初は、研磨や精密加工についての知識なんてないことがほとんどです。でも、みんなで相談し教え合いながら、数年で素晴らしい技術力を身につけて、私がびっくりするような成果をあげてくれています。

日々みんなで試行錯誤しながら超精密と言われる領域の加工に取り組み、オンリーワンと言っていただけるような技術も開発してきましたが、今でも自分たちが技術力を確立したなんて思ってはいません。

世の中には、不可能と思われているようなことがまだまだたくさんあります。でも、「こんなことできない」「誰もやったことがない」という仕事をクリアした先に成長があると思っていますので、これからも難しい仕事のお問い合わせをどんどんしていただけたらうれしいです。

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