摩擦試験を実施しました

こんにちは、お客様サポートチームのアリサです!

実はTDCでは各種テストピースや摩擦試験片のご依頼も多くいただいております。

しかし、『TDCで磨く事でどういった利点があるのか』をはっきりとは理解しておりませんでした。

その為、ラップ研磨を施したテストピースは摩擦力や摩擦係数が変わるのかを確かめるべく、摩擦試験を実施いたしました!

●試験の条件

今回の試験で使用した材質は3種類、それぞれ「平面研削面」「粗ラップ面」「鏡面ポリッシュ面」の3パターンを用意しました。

条件:荷重2N×45分間

●材質と面粗さ

平面研削面粗ラップ面鏡面ポリッシュ面
SCM420(浸炭)Ra 221 nmRa 6.83 nmRa 0.55 nm
SUS440C(焼入)Ra 323 nmRa 4.98 nmRa 0.62 nm
A5052Ra 135 nmRa 20.0 nmRa 0.71 nm

・・・残念ながら、A5052は試験を中断せざるを得ませんでした。

どうやら材質が柔らかすぎる場合、削れた粉が回転している面に付着し、摩擦力が異常にあがってしまうというトラブルが発生するようです。

摩擦試験は基本的に硬い材質でご依頼を頂くのですが、こういった理由があるのですね!これも勉強になりました。

●プレート写真
下記は摩擦試験を行った後のプレート写真です。

削れ方を見ると、SCM420とSUS440C(焼入)はいずれも平面研削品は面が粗いことから、ボールが局所的に当たる=接触面積が小さいことがわかります。
粗ラップ品は一応面で当たっていますが、鏡面ポリッシュ品に比べるとやはり接触面積が小さくなっています。  当たり方も鏡面品の方が綺麗に面当たりしています。


ちなみに、アルミについてはボールがプレートを削り取り、削り取った粉がボールや摩擦プレートの別の場所に凝着している様子がみられました。

●結果
最大摩擦係数は、なんとなくではありますが『平面研削面<粗ラップ面<鏡面ポリッシュ面』の傾向が見て取れました。
つまり、『ボールの当たる面積が大きければ摩擦力も大きい』との推論ができそうです。
面が粗い方が細かく削り取るので摩擦力は小さく、面が平滑(鏡面)になるにつれ摩擦力が大きくなり、多くのアルミを削っているものと推察されます。  

摩擦係数を調べるという実験は初めての試みでしたが、「Ra1nmレベルまで磨き込んだ方が良い結果がでる」という理想通りにはいきませんでした。

しかし、失敗や希望通りではないといった結果も含めて有意義な試験にできたかと思います。

今後も鏡面仕上げ品に対して様々な実験を行う予定でおります。

試験の内容や結果はブログでまとめますので、今後もご愛読の程よろしくお願いいたします。

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