難削材_チタン

難削材とは? | 基礎知識と種類についての解説

難削材とは

難削材とは、加工や取り扱いが難しい性質を持つ材料のことを指します。通常よりもワークの加工が難しいため、図面通りの寸法や表面粗さが出にくいほか、刃物の負担が大きく摩耗しやすいなどのトラブルがあります。

難削材が簡単に加工できない理由については、主に以下の要素が挙げられます。

①材料が硬くて削りにくい

硬度の高い材料は、機械加工するのが難しく、高精度の寸法を出しにくくなります。また、その硬さから加工機器への負担が大きく摩耗しやすいため、適切な加工方法の選定が求められます。必要に応じて、研磨、切削、研削などの方法を組み合わせることも必要です。

②材料が刃物に溶着してしまう

融点が低い材料を加工した場合、切削時に発生した切り屑が溶けて刃物に溶着してしまうことがあります。このとき、溶着した切り屑が刃先の代わりにワークを加工してしまい、刃物がチッピング(破損)したり、加工精度が低下したりする恐れがあります。

③加工時に材料が変形しやすい

ワークの熱伝導率が高いと、加工時に発生した熱でワークが歪みやすくなります。
一方、熱伝導率が低いワークでは、加工時に熱が逃げにくくなり、局部的に温度が上昇して反りなどの変形が発生してしまう場合があります。

④加工硬化が発生しやすい

加工硬化とは、金属に力を加え塑性変形(力を取り除いても元に戻らない変形)させると、変形した部分が硬くなる現象を指します。
金属が硬くなると、脆さも大きくなるため加工するのが難しくなります。

⑤切り屑が発火する場合がある

難削材を加工するときに発生した切り屑が、熱により発火する場合があります。切り屑が発火すると、工作機械で使用している油に引火する可能性もあるため注意が必要です。

代表的な難削材の種類

ここでは、代表的な難削材であるステンレス、チタン、インコネル、タングステンの特徴について解説します。

ステンレス

ステンレスは、鉄を50%以上、クロムを10.5%以上含む合金です。英語で「stainless steel(錆びない鉄)」と言われている金属で、その名前の通り錆びに強い特性をもちます。また、耐食性だけでなく、耐熱性や強度に優れているのも特徴です。

ステンレスは熱伝導率が低い材料で、切削加工をした際に加工箇所の温度が高くなると、ワークが溶けて刃物に溶着しやすくなります。また、加工硬化でワークが割れたり、工具が摩耗しやすいなどのトラブルもあります。

>>TDCのステンレス加工事例

チタン

チタンは、強度、耐食性、耐熱性などに優れた金属で、さまざまな工業や産業分野に活用されています。また、低温靭性の特性もあり、低温の環境下でも靭性を発揮できるため、建築材料としても採用されています。

しかしチタンは熱伝導率が小さいので、機械加工をした際に熱が逃げず、刃物の温度上昇により摩耗しやすいデメリットがあります。また、切り屑が熱をもつことで、発火する恐れがある点も難削材と言われている理由です。

>>TDCのチタン加工事例

インコネル

インコネルは、ニッケルに鉄、クロム、炭素などを添加した合金で、耐熱性、耐食性に優れています。高温の環境下でも強度を維持できるほか、腐食に強い材料のため、多くの化学産業分野で活用されています。

インコネルが難削材である理由として、高温下での強度が高いこと、熱伝導率が低いことなどが挙げられます。機械加工時には高温でも高い強度を発揮するので、刃物などが摩耗しやすくなります。
また、機械加工時に発生した熱が冷めにくく、工具が熱によるダメージを受けやすい点にも注意しなければなりません。

>>TDCのインコネル加工事例

タングステン

タングステンは、スウェーデン語で「重い石」を意味する金属です。鉄の約2.5倍ほどの比重で重たいほか、硬度や融点が高いなどの特性をもちます。これらの特性から、切削用工具やバランスウェイト、耐熱構造部品などの用途で活用されています。

しかし、タングステンは硬くて熱に強い特性である分、加工時の刃物への負担がかかりやすく、削るのが非常に難しい材料とされています。

>>TDCのタングステン加工事例

難削材を加工するためのポイント

難削材の加工は、高い加工精度や表面粗さなどを出すのが難しいほか、刃物への負担が大きくかかるなどの問題があります。

しかしこれらの問題は、剛性の高い工作機械や質の高い刃物を使用したり、加工速度を材料に適した設定にしたりするなどの対策により解決できます。

例えばステンレスを加工する場合、オイルミストを用いて加工箇所を冷却することで、刃物の摩耗や加工精度の低下を軽減することが可能です。
ほかにも、加工の送り速度を遅くして温度上昇を抑える、耐摩耗性の高い工具を用いるなどの対策もあります。

難削材の加工はTDCまでご相談ください

難削材とは、加工が難しい材料の総称で、加工の際はワークの特性により、刃物が摩耗しやすくなったり精度の高い加工が難しくなったりといった問題があります。もし業者に難削材の加工を依頼する場合は、トラブルなく製品を提供してもらうためにも、実績やノウハウのあるところを選びましょう。

TDCでは、ステンレスをはじめとした、さまざまな難削材の加工実績とノウハウがあります。ご依頼は試作品から量産品まで対応が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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