インバー/スーパーインバーとは?| インバー/スーパーインバーの特徴・加工事例
このページでは、インバー/スーパーインバーの特徴や用途、TDCの加工事例について解説をします。
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Contents
インバー(インバー36/FN36)とは
インバー(インバー36/FN36)とは、鉄に36%のニッケルを含んだ低膨張の金属材料のことを指します。インバーという名称は、Invariable Steel(変形しない鋼)から名づけられ、フランス語読みでアンバーともいうことから「インバー合金」「アンバー合金」と呼ばれます。
また、日本語では「低熱膨張合金」「不変鋼」「鋳鋼・鍛鋼」とも呼ばれることがあります。
インバー(インバー36/FN36)の成分
インバーを構成する成分は、以下となります。
成分 | 構成比(%) |
Ni(ニッケル) | 35.0-37.0 |
Fe(鉄) | Bal(約65.0前後) |
Mn(マンガン) | 0.60以下 |
Co(コバルト) | 0.50以下 |
Si(ケイ素) | 0.40以下 |
Cr(クロム) | 0.25以下 |
C(炭素) | 0.20以下 |
P(リン) | 0.025以下 |
S(硫黄) | 0.025以下 |
インバー(インバー36/FN36)の物理特性
インバーの物理特性は以下となります。
電気抵抗率 | 75-85(μΩ・cm) |
ヤング率 | 140-150(GPa) |
剛性率 | 57(GPa) |
キュリー温度 | 276.7℃ |
ブリネル硬度 | 160 |
破断伸び | < 45 % |
レジリアンス (20°C) | 140-150(J/cm2) |
ポアソン比 | 0.22807 (=E/2G – 1) |
引張強さ | 450-590(MPa) |
密度 | 8,125(g/cm-3) |
線膨張係数(20-90°C) | 1,2-2,0 x 10-6 K-1 |
熱伝導率 (23°C) | 13 Wm-1K-1 |
比熱容量 | 510 JKg-1K-1 |
融点 | 1426℃ |
インバーの特徴・特性・性質
一般的に金属は熱を加えることで膨張し、冷却することで収縮するといった特性を持っています。
しかし、インバーは特定の温度においてほぼ変化せず、その熱膨張係数は鉄やニッケルのおよそ10分の1以下となります。
熱膨張係数の低い材料には他にもセラミックやタンタルなどが挙げられますが、インバーの特徴は、電気伝導性や弾性を備え、溶接やハンダでの加工も可能な金属ならではの性質を有している点にあります。
そのほか、インバーには以下のような特徴が挙げられます。
- タングステンなどと比較し、安価である
- -200℃ほどの低温環境下でも高い靭性を誇る
- 常温下では伸縮性や延性に富み、加工性が高い
インバーに似た特性を持つ物質
インバーよりもさらに熱膨張率を抑えたい場合は前述の「スーパーインバー」、またガラスなどと組み合わせたい場面では高温でも熱膨張係数が低い「42アロイ」や「コバール」などが有用です。
スーパーインバーとは
スーパーインバーとは、鉄にニッケル32%・コバルト4%を含んだ三元合金となります。熱膨張係数が鉄の約100分の1以下と、インバーよりもさらに優れた特性を持ちます。
「超普変鉄」「超普変鋼」「スーパーアンバー」と呼ばれることもあります。
42アロイ
42アロイは、鉄にニッケル42%を配合した合金です。
硬質ガラスに似た熱膨張係数を持った金属であり、気密保護のためガラス封着される電子部品の電極やICリードフレームに用いられます。
42アロイの物理特性は、以下となります。
密度 | 8.15(g/cm-3) |
融点 | 1430℃ |
電気比抵抗 | 0.635(μΩ・cm 20℃) |
熱伝導 | 14.6 W/(m*K) |
熱膨張係数 | 30〜330℃ 45〜65 * 10-7/℃ |
磁気変態点 | 330℃ |
コバール
コバールは、鉄にニッケル29%・コバルト17%を配合した合金です。
その熱膨張係数は、ケイ素酸系のガラスやアルミナ系のセラミックに近い広い温度範囲で変化しない性質を持っています。
硬質ガラスやセラミックと接触させることができる合金で、封着・封入に活用されています。
コバールの物理特性は以下となります。
密度 | 8.0(g/cm3) |
熱膨張係数 | 5.2(10-6 K-1 (25 – 200℃)) |
熱伝導率 | 17(W/Km) |
電気抵抗率 | 0.49(Ω mm2 / m) |
引張強さ | 55(Kg/mm2) |
硬さ | 160(HV1) |
ヤング率 | 159(GPa) |
降伏強さ | 270(MPa) |
キューリー点 | 435(℃) |
比熱 | 0.46(J/gK) |
インバーの用途
インバーは、その熱膨張係数の低さや温度変化による寸法変化が小さい特徴から、熱の影響を避けたい精密機器・精密装置に用いられます。
主なインバーの用途は以下となります。
- 半導体製造装置
- 半導体露光装置
- 光学装置
- 製造装置
- 精密検査装置
- 各種測定・測量機器
- バイメタルの低膨張側
- シャドーマスクフレーム
- 地震活動検出器
- 航空宇宙産業 複合パーツ用モールド
- 時計など
インバーの加工性
インバーは熱伝導率が低く、熱が材料にこもる事でゆがみが発生しやすくなります。また、粘りのある材料であることから、加工が難しい難削材として扱われます。
TDCではこれまでに培ってきた研磨・研削技術により、難削材とされるインバーでもあらゆる加工が可能です。
他社で断られた加工やインバーの加工にお困りでしたら、ぜひ弊社までご相談ください。
TDCのインバー/スーパーインバー加工事例
実現可能な仕様
面粗さ | Ra0.001um以下 |
平面度 | 0.001mm以下 |
平行度 | 0.001mm以下 |
その他材質についての加工実績は、下記ページよりご覧いただけます。
>>TDCの表面粗さ・面粗度実績
インバー/スーパーインバーの加工事例
弊社では各種用途に合わせた各種部品やテストピース、基板などの製作を承っております。インバー材では面粗さRa1nm以下、また平面度平行度は0.001mm以下での保証が可能です。
インバーの加工はTDCまでご相談ください
TDCでは、材質に応じた加工ノウハウと、これまで蓄積された研磨加工技術により、あらゆる材質・精度の鏡面研磨加工にも対応が可能となっています。
他社で断られたインバー/スーパーインバーの加工案件も、ぜひ一度TDCにご相談ください。
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