ニッケルとは?| ニッケルの特徴・加工事例
このページでは、ニッケルの特徴・用途・純ニッケルとニッケル合金の違いや、TDCの加工事例について解説をします。
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Contents
ニッケルとは
ニッケル(元素記号:Ni)とは、レアメタルの一種で、光沢のある銀白色の金属です。大気中から海水まで幅広い環境下で安定した耐食性を有しており、調理器具や化学工場などの、腐食を避けたいものや場所で採用されています。
ニッケルという名称は、かつてドイツで「悪魔の銅」を意味する「Kupfernickel」と呼ばれていたことに由来します。
15世紀頃、鉱山で働く鉱夫たちに、ニッケル鉱石が銅鉱石に似ているにもかかわらず銅を遊離できないこと、また中毒症状を引き起こすと考えられていたことから、こう呼ばれるようになったと言われています。
ニッケルは、単体で使用するよりもクロムなどの金属と組み合わせて合金として扱うことが多く、ステンレス鋼や耐熱鋼の製造にも活用されている素材です。身近なところでは、フライパンなどの調理器具や100円硬貨などにも含まれています。
また、合金として用いられる他に、金属表面の保護や防錆のためメッキを施す際の素材としても活用されています。
ニッケルの特徴・特性・性質
ニッケルが他の金属に比べ優れている点として、耐食性・強度・延性が挙げられます。特に耐食性に関しては、中性や海水の環境下でも安定した特性を発揮します。
また、融点が1455℃と高いほか、強磁性体であるのも特徴です。
ニッケル(元素記号 Ni)の物理特性
融点(℃) | 1455 |
沸点(℃) | 2913 |
密度(g/cm3) | 8.91 |
比重(g/cm3) | 20℃:8.90 |
ニッケルの用途
ニッケルを含む金属は、耐食性や耐久性が優れているほか、高温または低温での強度も高いことなどから、主に以下の用途に使われています。
- 調理器具
- 建築物
- 医療機器
- 化学工場
- 自動車、航空機部品
- 硬貨
- 電池など
純ニッケルとニッケル合金の違い
ニッケルは、純ニッケル以外に、鉄や銅などと合金にして利用されることが多くあります。
ここでは、純ニッケルと代表的なニッケル合金についてご紹介します。
純ニッケル
純ニッケルは、ニッケルが99%以上含まれた金属のことです。苛性ソーダや塩素ガスなどに対して、強い耐食性を有していることから、苛性ソーダや薬品を扱う装置の材料に採用されています。
また、磁性を有しているほか、熱伝導率が低く、加工性に優れているなどの特徴があります。
ニッケル鉄合金
ニッケル鉄合金は、ニッケルと鉄からなる合金です。代表的なモノとして、鉄に36%のニッケルを含有した「インバー(アンバー)」があります。
熱膨張係数が鉄やニッケルのおよそ10分の1以下と小さいインバーは、-200℃ほどの低温環境下で高い靭性を有し、常温環境下で加工性に優れている特性があります。
ニッケル銅合金
ニッケル銅合金は、ニッケルに銅を含有する合金です。ニッケルと銅を組み合わせることで、ニッケル特有の耐食性と耐熱性のほかに、優れた強度や硬度を発揮します。
これらの特性から、海水浸漬部材や石油精製装置などの用途に活用されています。
代表的なものとして、加工性に優れた「モネル400」や、海水中でのサビに強い「7:3キュープロ」などがあります。
ニッケルクロム合金
ニッケルクロム合金は、ニッケルにクロムを添加した合金です。高温環境下でも強度や耐食性が良好で、工業炉部材や航空機のジェットエンジンなどの用途で活用されています。
代表的なものとして、ニッケルにモリブデンやクロムを多く加えた「ハステロイ」などがあります。
TDCにおけるニッケルの加工事例
TDCにおける代表的なニッケルの研磨加工事例をご紹介します。
その他材質についての加工実績は、下記ページよりご覧いただけます。
>>TDCの表面粗さ・面粗度実績
ニッケルの研磨加工事例①
- サイズ:150 x 200 非球面レンズ
- 仕様/精度:面粗さ Ra≦1nm
- 材質:アルミの母材にニッケルメッキと成膜
- 加工内容:ダイヤモンドターニング後のニッケルメッキの面を更に弊社で磨きこみ、Ra≦1nmに仕上げました。通常の切削上がりの面でも鏡面仕上げ可能です。
ニッケルの研磨加工事例②
- サイズ:W210 x L1500 x T0.02 (長尺箔)
- 仕様/両面鏡面仕上げ Ra≦2nm
- 加工内容:長尺のニッケル箔を両面研磨しました。厚みは0.02程度~、長さは任意にて鏡面仕上げ可能です。また長尺に限らず小片でも研磨可能です。
ニッケルの研磨加工事例③
- サイズ:小片~□500程度まで
- 仕様/精度:面粗さRa≦1nm、平面度≦0.001、平行度≦0.001 など
- 加工内容:ご希望の精度にて、各種テストピースや部品の製作を承ります。面粗さだけではなく、平面度や平行度・角度公差など複合的な要素を組合せて高精度な部品の製作が可能です。
ニッケルの加工はTDCまでご相談ください
TDCでは、材質に応じた加工ノウハウと、これまで蓄積された研磨加工技術により、あらゆる材質・精度の鏡面研磨加工にも対応が可能です。
他社で断られたニッケルの加工案件も、ぜひ一度TDCにご相談ください。
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