金型加工

金型の鏡面研磨加工・精密加工

このページでは、TDCで製作する金型、金型加工の概要や金型製作の種類・工程を解説します。

TDCの精密加工のサービスについては、『超精密研磨・超精密加工のサービス』ページもご覧ください。

金型とは

金型とは、樹脂・ゴム・金属といった材料を、目的とする形状に成形・加工するために用いられる型枠の総称です。
金型の特徴は、同じ形の部材や製品を連続して製造できる点にあります。材料を金型でプレスしたり、金型の中に流し込んだりすることで、均一かつ大量に部材を製造でき、自動車や飛行機の部品から、家電やパソコン、スマートフォンのような小型な製品においてまで、多くのモノづくりの現場で重要な役割を果たしています。

製造過程における品質の安定化やコストダウン、短納期化、製品の多様化や小ロット化、環境対策、軽量化などを図るために金型は必須の存在です。高精度な製品を作るためには、その製品を作る一つひとつの部材を高精度化する必要があり、それらの部材を製造する金型は近年ますます高精度化が求められています。

TDCにおける金型の研磨加工・精密加工

TDCでは、超精密研磨の独自技術を活かし、金型の精密加工を行っております。
当社の金型加工では、寸法や形状精度を維持したまま、欠陥や曇り、歪みがなくなるまで磨くことにより、高い平面度やナノレベルの面粗さを実現することが可能です。

これまでレンズなどの光学領域で用いられる金型や、ナノインプリント用の円筒ロール金型など、精密さが求められる分野で多くの実績がございます。

ナノインプリント用のロール金型研磨

精密機器や半導体に活用される高機能フィルムでは、円筒ロールの金型によってナノレベルの微細な回路パターンを転写する「ナノインプリント」が用いられます。
TDCでは、このナノインプリント用のロール研磨装置を自社開発し、曇りやキズ無く加工できる研磨技術を確立しました。

ステンレス、ニッケル、ガラス等に加え、チタンや純アルミ、また各種セラミックスなどさまざまな材質に対応しております。

ロール金型の加工内容・事例・精度については
精密鏡面円筒ロール/精密鏡面円筒シャフト
のページもぜひご覧ください。

TDCの金型研磨の流れ

TDCでの金型研磨加工は、以下の工程で行っております。

  1. ヒアリング…お客様からご提供いただいた仕様書や図面をもとにご要望や課題をお聞きし、最適な加工工程を選定・ご提案します。
  2. お見積り…1の内容をもとに、見積書をご提出します。
  3. 研磨加工…研削や研磨加工を用いて要求精度を実現します。
  4. 洗浄…仕様に応じて、最適な方法で洗浄をします。
  5. 検査…仕様に応じて、検査データ(※)を添付します。
  6. 出荷

(※)TDCでは、世界最高水準の測定環境と評価技術を保有しており、超高精度なモノづくりでお客様の求める品質にお応えしています。TDCの品質保証については、『品質保証』ページをご参照ください。

金型研磨にはぜひTDCの研磨技術を活用ください

TDCでは、独自の技術開発とノウハウの蓄積によって、超精密ラップ・超精密研磨の分野で世界最高水準の研磨加工技術を保持しています。

一般的な金型研磨はもちろんのこと、精度の高さが要求される金型の研磨にはぜひTDCの研磨技術をご活用ください。

※TDC公式YouTubeチャンネルでは、STAVAX材を用いた金型をご紹介しております。ぜひご覧ください。

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ダイ/モールドとは

ここからは一般的な金型についてのご紹介をいたします。

金型は用途に応じて、「ダイ(Die)」/「モールド(Mold)」と呼ばれる場合があります。

メーカーや現場によって呼び方が変わる場合があり、以下がその一例となります。

ダイ(die)

ダイは「開放型」の金型で、金型を金属に押しつけて成形します。また、下型の受けを「ダイ」、上型を「パンチ」と呼ぶ場合もあります

そのほか、以下の金型もダイと呼ばれる場合があります。

  • 金属板の加工に用いられるプレス用金型
  • 硬貨の製造に用いられる型
  • 樹脂材料を棒状に押出し成形する金型
  • 鍛造型

モールド(mold)

モールドは「密閉型」の金型のことを指し、金型に金属や樹脂を流し込んで成形していきます。

そのほか、以下の金型もモールドと呼ばれる場合があります。

  • 溶融樹脂を圧入する射出成形に用いられる雄型・雌型
  • 溶融金属を流し込む鋳造
  • ダイカスト用の金型
  • 金属や樹脂の圧縮成形用金型
  • 金属粉を圧縮して固める粉末成形用金型

金型の種類・分類

金型とひとくくりに言っても、さまざまな種類が存在します。

具体的には、以下のような種類があります。

プレス用金型

プレス機に取り付けた金型の間に鋼板や非鉄金属など板状の材料を配置し、上下から挟み込むことで材料に塑性加工や抜き加工などを施し成形します。抜き型・曲げ型・絞り型・圧縮型などの分類があり、順送プレスなどにより複数種の加工を合理化することも可能です。自動車ボディ部材から電機製品の部品、日用品・雑貨など用途は多岐にわたります。

単能型

単能型とは、単工程加工(単発プレス)で使用されるプレス金型で、一回のプレスで抜き・穴あけ・曲げといった「ひとつ」の加工を行うことができます。

単能型はさらに、「ブランク型」「抜き型」「曲げ型」など機能ごとに細分化されます。

複合型

複合型は単能型とおなじく、単工程加工(単発プレス)で 使用される プレス金型で、一回のプレスで抜き/絞り・抜き/曲げなどの「複数」の加工が同時に行うことができます。

金型の構造が複雑となるため強度が弱くなるという欠点もありますが、工数の大幅な削減が可能です。

順送型

順送型とは、順送り加工で使用されるプレス金型で、ひとつの金型のなかに複数の型が組み込まれていることで自動送りをしながら順番にプレスすることができます。

プレス金型のなかでもっとも生産性が高く、ひとつの金型で完成品まで成形することができます。

トランスファ金型

トランスファ金型は、「トランスファ加工」で使用されるプレス金型で、単能型に対して搬送・位置決め機能を追加したものとなります。

順送型では困難な、絞り加工にも対応することができます。

プレスライン金型

プレスライン金型とは、ロボットプレスラインで使用されるプレス金型のことを指します。

無人の自動化ラインに最適なほか、順送型やトランスファ金型ではむずかしい大きなプレスにも対応することができます。

パンチ金型

パンチ金型は、タレパンやプレスブレーキにセットして使用する専用の金型で、下型のダイ(受け側)とセットで使われることが多いです。

金属にパンチを押しつけることで、抜き・曲げ・絞りなどの工程をおこない、通常のプレス金型においても上型をパンチと呼ぶ場合があります。

ダイカスト金型

ダイカスト金型は、ダイカスト鋳造で使われるモールド用の金型となります。

ダイカスト金型による鋳物は「ダイカスト」や「ダイキャスト」とよばれ、自動車をはじめ、家電の部品から建築材料など、さまざまな業界で使われています。

プラスチック用金型

プラスチック用金型は、射出成形・圧縮成形・吹込成形・真空成形などの樹脂成形に用いられます。

数ある金型のなかでも、プラスチック用の金型が最も多く生産されているといわれています。

主には以下の製品にプラスチック用金型が使用されます。

  • 電機製品
  • OA機器
  • 自動車部品
  • ペットボトル
  • フィルム状・袋状・棒状の製品

射出成形金型

射出成形金型は、樹脂射出成形や金属粉末射出成形・MIM(粉末冶金技術)などで使用されるモールド用の金型となります。

溶けたプラスチックや金属の粉末を、金型に注入し成形します。

鋳造用金型

鋳造用金型は、主に以下の鋳造に利用される金型となります。

  • シェルフモールド
  • ロストワックス
  • 重力鋳造
  • 圧力鋳造

ダイカスト用金型

鋳造用金型の一種で、溶けたアルミ合金や亜鉛合金などを高温の状態で圧入して成形します。

自動車・精密機械・電機製品などの部品のほか、カメラや電動工具のボディなどの製造に用いられます。

簡易金型

簡易金型とは、製品の試作や量産前のテストにて使用される金型のことを指します。

アルミや亜鉛合金などで作られることが多く、製作コストは低い一方、耐久性が低く加工回数は限られます。

複合成形金型

複合成形金型は、生産ラインの工数削減で使われる金型のことを指します。

金型の内部に複数の材料や部品をセットすることができ、一回のプレスで複数の工程を削減することができます。

ガラス型

ガラス素材を成型する金型をガラス型と呼びます。

一般的な金型と同じ押型・プレス型とガラスの特性を活かした吹型(廻吹型・吹込型 )があります。

ゴム型

天然ゴムや合成ゴムを成形する金型をゴム型と呼びます。

直圧成形・直圧注入成形などに分けられます。

金型の材料・材質

金型に用いられる材料・材質は、量産を行う製品や部品によってさまざまです。

一般的に金型には、大きな圧力と衝撃がかかります。そのため靭性の高い合金工具鋼や、耐摩耗性・耐熱性に優れた高速度工具鋼(ハイス)などの工具鋼が使われるほか、超硬合金をつかったパンチや、さらに耐摩耗性を高めるためにセラミックスを使用するケースもあります。

材料・材質の検討

たとえば、プラスチック用金型を例にとっても、材料の種類やその形状によって 弾性・靭性・動的強度・熱伝導性が大きく異なります。

そのため、材質に要求される耐久性や腐食性、摩擦性、コストのバランスを踏まえた 金型の材料・材質選定が必要となります。

金型の設計と加工方法

金型設計と加工準備

金型を実際に加工する前には、まず設計における検討・決定事項や加工プログラムなどを準備します。

基本的な要件を満たした設計であるかを確認するほか、サイズ公差、表面粗さ、材料や熱処理方法などを決めていきます。

金型設計の3Dデータが完成次第、ソフトウェアを使用し、溶融樹脂などの流体にてシミュレーションを行います。

細部の検証や再検討を行いながら金型の完成を目指します。

マシニングセンタでの基本加工

マシニングセンタを使用して金型を製造する場合には、一般的に金型の鋼材の主要な部分を切削・研削していき、目的の形状に近づけていきます。

  1. 切削加工…切削加工にはマシニングセンタのほか、NCフライス盤・ジグ中ぐり盤 ・旋盤 ・汎用フライス盤 ・汎用フライス盤・ボール盤などの切削工具を使用し、鋼材の不要な部分を削ります。
  2. 研削加工…回転する砥石上で表面を削っていきます。金型の表面粗さは、金型での成形品の表面の精度に関係する重要な要素となります。要求する表面粗さを得るために、平面研削盤・成形研削盤・ジグ研削盤などを用いた研削加工をおこなっていきます。
  3. 放電加工…金型の材料と電極の間でアーク放電をおこない、金型表面の細部を溶かして除去をおこないます。一般的に、ワイヤカット放電加工機・放電加工機が用いられます。
  4. 組立・仕上げ…加工した各種金型部品を組み立て、最終的な上下型の干渉やスライド部分などをチェックします。要求される表面粗さに仕上げていくほか、目視や手触りによる確認と慎重な手作業の繰り返しで、高品質な金型に仕上げます。


(参考サイト:はじめの工作機械|金型とは

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